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第93話 「インチアップも含めたタイヤの空気圧設定」

(作成:2008年7月8日 改訂:2008年7月8日)

(TEXT & PHOTO : RON / E39 530i)


<タイヤのロードインデックスとは?>
ヘルプデスクで良く話題に上がる「タイヤの空気圧」についてレポートします。
まず、タイヤの空気圧を決めるときの基本となるのが“ロードインデックス”です。
皆さんご存じかとは思いますが、タイヤのサイズ表記の末尾の数値。
E39Mスポーツですと、フロント235/45R 94Y、リヤ255/40R 94Yで、「94」がロードインデックスの数値となります。
この数値が大きいタイヤほど最大負荷能力(最大荷重)が高いわけですが、空気圧によって、その最大荷重指数は変わります。
場合によっては、タイヤのロードインデックスが低くても空気圧を高めることで最大荷重指数を高めることが可能となります。
また、ロードインデックスの表記にはヨーロッパ規格(ETRTO規格)と日本規格(JATMA規格)の2種類があり、
同じ空気圧でも荷重指数(kg)が若干異なっています。

ヨーロッパのETRTO規格のタイヤには、写真のような「E」という文字が刻印されている。

  E39

最近は、EXTRA LOAD(エクストラロード:EXL、XL)とかREINFORCED(レインフォースドタイヤ:RENF)という
「耐荷重性能強化タイプ」のタイヤもあります。
これは、スタンダードタイヤより空気圧を高くすることで荷重性能を強化したタイヤです。

サイドウォールにEXTRA LOADと刻印されている

  E39

ちなみに、タイヤのロードインデックスは、サイズが同じならメーカーや銘柄が異なっても同じになっている
はずです(エクストラロード・タイプのタイヤは除く)。

そこで問題なのが、インチアップなどでタイヤサイズが変わってしまったときの空気圧の設定。
ロードインデックスがノーマルタイヤと同じまたはそれ以上なら、タイヤの空気圧は指定値で大丈夫です。
しかしインチアップしたときは、タイヤサイズを大きくしない限りノーマルタイヤよりロードインデックスが
下がることが多いので高めにしなければなりません。
ただ最大空気圧は、ETRTO規格(輸入タイヤ)が2.5bar、
XL(エクストラロード)は2.9bar、JATMA規格(国産タイヤ)は2.4barとなっています。

<タイヤの空気圧を決める最大負荷能力>
ここではE39・530Mスポーツを例にあげて話しを進めます。
E39・530Mスポーツのノーマルタイヤは、フロント235/45R17 94Y・リヤ255/40R17 94Y。
通常走行での空気圧はフロント1.8bar、リヤ2.2bar。
確認はしていませんがヨーロッパ規格であるETROT規格のタイヤ装着を想定して最大荷重を設定しているはずです(1bar=1.0197kg-f)。

  E39

それでは、下記の表からメーカーが指定する最大荷重を算出します。
ロードインデックスは「94」なので、前輪/後輪それぞれの空気圧から数字を追っていくと、
最大荷重(ピンクの数値)フロントは515kg、リヤは605kg。
私の場合、新しく装着したタイヤは、ノーマルより1サイズ細かったのですが、
エクストラロードだったためロードインデックスは「94」。
しかし、空気圧はフロント2.1bar、リヤ2.6barにしました。
グリーンのラインの「89」とは、2インチアップで想定されるタイヤサイズとなる
フロント245/35R19、リヤ265/30R19に変更したJATMA規格(国産タイヤ)のロードインデックスの数値です。

<E39・Mスポーツ>
前輪:標準235/45R17 94Y   2インチアップ:235/40R19 89W (93Y XL)

  E39
  (クリックで拡大されます。)

後輪:標準255/40R17 94Y   2インチアップ:265/35R19 89W (93Y XL)

  E39
  (クリックで拡大されます。)

このようにロードインデックス「89」のタイヤだと、フロントは2barにすれば520kgとなり
大丈夫です(ETRTO規格なら2.2bar)。
ところが、リヤは2.4barでも580kg、ETRTO規格のタイヤを装着して2.5barにしても580kgと純正値の605kgを満たしません。
つまり、安全性を考えると装着不可なのです。
しかし「このサイズのタイヤを装着したい!」という方は、エクストラロードタイプのタイヤを装着すれば、
ロードインデックスは「93」とノーマルの「94」に近づき、
空気圧をフロント2.2bar、リヤ2.7barに設定すれば最大荷重問題は解決します。
もちろん、好みの走行フィールにするために空気圧を変更することはアリですが、
あくまでもメーカーが指定する最大荷重値を下回らないようにすることに注意してください。


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