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第3話 「出発」

(作成:1997年2月14日 改訂:1997年7月18日)

(TEXT : BOND / Z3)
ん〜、もう朝か。
何時だろう? ゲッ、もう11時か。
昨晩はEuro.に打つFAXの英訳に手間取って、帰宅が遅くなったからな。
今日の天気はどうだ?
おぉ〜、いい天気だ。
今のところ、風も弱そうだな。よし!

顔を洗って、遅い朝食を手早く済ませ、厚着をした上に、さらにレザーブルゾンを着込む。
外へ出てみると、やはりいい天気だ。
さて、どこへ行こうか?

ガレージの重いシャッターを腰をかがめて持ち上げる。
ギギーと鈍くも金属のこすれあう高い音がする。
ガレージの中は暗いが、艶めかしいボディーがそこにある。
ドアロックを解除し、車に乗り込む。 車内には、レザーの香りが漂っている。
ラルフローレンのキーホルダーの付いたキーを、シリンダーに差し込む。
が、まだエンジンは始動しない。
その前に一仕事しなければ。
パワーウィンドウのスイッチを押し下げ、サイドウィンドウを開ける。
そして、フロントウィンドウ上部のレバーを引いてロックを解除し、幌の前端を持 ち上げる。
車外にでて、幌を後部に完全に折りたたむ。
ここまでは、ものの数十秒だ。
トランクからトノ・カバーを取り出す。
こいつの取り付けが厄介だ。
約5分、悪戦苦闘のすえ、やっと取り付いた。
取り外しは簡単なのだが・・・。
ゲッ、またやっちまった。
納車時に塗られていたタイヤワックスがまだ残っていて、 トノ・カバーを取り付ける時にGパンに黒いワックスが付いちまう。
気を付けていたつもりなのに...。
これで4度めだ。
まったくもう、学習しない男だな。

さぁてと、気を取り直して、再び車内に乗り込む。
キーをONにする。 シートベルトの装着を促すチャイムが鳴る。
納車されたばかりなので、SIはフルグリーンだ。
キーをSTART位置までひねる。 数秒後にエンジンが目覚める。
んっ、今日もいい音だ。
クラッチを踏み、シフトをこちら側へ引き寄せてギアをバックに入れる。
クラッチペダルを徐々に持ち上げる。
ミートポイントは適当に広いし、エンジンの低速トルクも太いから、 クラッチの扱いに別段神経質になる必要はない。
スルスルと車は動きだし、明るい日差しを浴びる。
眩しい。サングラスは必須だ。
ガレージのシャッターを降ろすために、一旦車から降りる。
明るいところで見る こいつのボディーのプレスは、やはりきれいだと思う。
「アトランタブルー・メタリック」、なるほど、アトランタの空はこんな色なのだろう。
ベージュの内装色も 、このボディーカラーによくマッチしていると思う。
(ベージュは色が薄いので、汚れが付きやすく、目立ちやすいけれども。)
再び、車に乗り込み、まずはシートヒーターのスイッチを入れる。
こいつは本当に助かる。
冬のオープンドライブにはありがたい。
特に水温が上がってヒーターが有効になるまでの間は、こいつだけが頼りだ。

いよいよ、ギアをローに放り込み出発だ。
左腕のロレックスは、もうすでに12時を示している。
あてもなく、走り出す。
暖気が取れるまでは、エンジンスピードを控えめに走る。
思い切り歌わせてやりたい衝動を抑えながら。
車から異音が出ていないかチェックした後、 コンソールのテープの中から「フィル・コリンズ」を選び、デッキにセットする。
そろそろ、暖気もとれてきた。
そうだ、海へ行こう!
Z3のシュアなハンドルを切り、海へと向けて走り出す・・・・・。

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