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第78話 「本編29『7年目の車検と延命リフレッシュ(エンジンマウント、リアアクスルブッシュ一式交換)』」
(作成:2005年7月28日 改訂:2005年9月12日)
(TEXT & PHOTO : 宮田 / E36-M3 )
宮号を3回目(7年目)の車検に通した。
他に乗りたい車がない(他メーカで非日常的な車ではあるけど・・・日常的な車とし
ては今乗ってるE36型///M3はベストセレク
ト)ので永く乗るためのメンテナンスに重点を置いて車検に出した。
(一番の理由は車の購入資金がないが理由だが。。。)
車検についての結論を先に言うと、車検そのものは何も問題なく通った。
実は、前回の車検の事前相
談の1年くらい前から7年目のメンテナンスを何をするかをいろいろ考えていた。
基本にある考えは“できる限りBestな状態を保ち乗り続けた
い。”である。
そのためには消耗部品は定期的にメンテナンスすることが必須であるのは言うま
でもない。
消耗部品の中でもブッシュ関係は特に重要で、これを定期的に交換することに
よって新車の感覚に戻すことができるのが///M3に限らずBMWのいいところである。
ブッシュ(ゴム)の厄介なところは、車に乗っていても車に乗らずにいても、
消耗していくということである。
消耗の仕方は主にヒビ、割れ、収縮、硬化である。
つまり消耗したブッシュはその性能を果たすことができなくなってくるので、
ブッシュで衝撃を吸収していたことがボディや鋼鉄部で受けることになる。
その結果、雑味な振動が伝わり、車のヤレは二次曲線的に進行していくことになる。
衝撃を鋼鉄部で受け続け最悪の場合は、鋼鉄部が曲がり車そのものが変になって
しまうことさえある。
その中でも今回はリアアクスルを含めた基礎部分に主眼を置き、ここで使われて
いる全てのブッシュを一新することにした。
(前回の車検で予告し
たとおりである。)
![M3](../pict2/mc78E36_M_RearAcc.jpg)
(リアアクスル)
リアアクスルはFR車には絶対不可欠(当たり前か…)で、且つエンジンのパワーを
駆動輪に伝える重要なアッセンブリバーツであり、エンジンパワーをダイレクト
に伝えるので、重要な機関である。
しかもリアアクスルにかかる負荷は大変大きく、その負荷を駆動輪以外に伝えな
いようにするために、いくつものブッシュが組み合わされ使われている。
全ブッシュ一新といっても車体に付いたままではできないので、リアアクスル
アッセンブリを降ろしての作業になるので、かなりの大作業である。
大作業をするのなら・・・ということでフロント側もエンジンを持ち上げ、また同
時にエンジンマウントブッシュ、トランスミッションマウントブッシュについても
一新することにした。こっちもまた大作業である。
では外したいくつかのパーツを見てみよう。
![M3](../pict2/mc78M3_EngineMount01.jpg)
(エンジンマウント)
まずはエンジンマウントブッシュ…見てのとおり、ブッシュそのものに無数にヒ
ビが入っている。
裏返してみると金属のビス部とゴム部が完全に剥離している。
![M3](../pict2/mc78M3_EngineMount02.jpg)
(エンジンマウント)
続いてプロペラシャフト ジョイントディスク…プロペラシャフトとデファレン
シャルギア部を接続しているディスク形状のカップリングブッシュ。
![M3](../pict2/mc78M3_Rear_Bush02.jpg)
(プロペラシャフト ジョイントブッシュ)
よく見ると固定ビス穴部周囲の薄くなっている部分に長い亀裂が入っている。
厚み方向から見てみると亀裂は両側から伸びてきていて、繋がっているのはわず
か中央の1/3ほどとなっている。
![M3](../pict2/mc78M3_Rear_Bush03.jpg)
(プロペラシャフト ジョイントブッシュ 側面から)
なのでもう限界…いや限界を超えて使っていたのかもしれないと思うと恐ろしい
ことである。
このブッシュは破損すると最悪の場合、走行不能になるのでこのままにしておく
のは危険であった。
![M3](../pict2/mc78M3_Rear_Bush01.jpg)
(リアアクスルキャリアブッシュ)
そしてリアアクスルキャリア(支持)ブッシュ…リアアクスルアッセンブリとボ
ディとを接合を支持するブッシュでこれも大きな亀裂が入っている。
ここには載せなかったが、他のブッシュも同様にヒビや亀裂があり、ブッシュ本
来の機能を果たしてなかったことが分かった。
本当はリアアクスルアッセンブリを降ろしている画像も見せたいのだが、iDing
とオーナー以外は門外不出ということでお許し頂きたい。
しかし、印刷したものは持っているので、オフミ等で個人的なリクエストがあれ
ばお見せしたいと思う。
リアアクスルアッセンブリが降りている姿はあまり見れるものではないので一見
の価値はあるだろうと思う。
リアアクスルにはいくつものブッシュが組み合わされてると述べたが、本来の機
能が損なわれたブッシュが組み合わさってると、雑味な振動が発生し、エンジン
パワーをダイレクトに駆動輪に伝えられなくなっていても仕方ない。
また、リアタイヤの内減りもブッシュが収縮し、各アーム等のジョイントの支点
がズレ、それがいくつも重なり最終的な作用点がタイヤに出てきていたというの
も考えやすい。
これはノーマルよりも車高を下げている車に顕著な傾向で現れる。
ここでブッシュを一新したことにより、この傾向も和らげることができるだろう。
参考までに定期点検とは別で、今回交換/一新した部品類は以下のとおり。
交換した部品 |
数量 |
デフカバー リアブラケット |
1 |
トレーリングアーム ボールジョイント |
4 |
トレーリングアーム マウント |
2 |
リア アクスルキャリアブッシュ
(フロント側) |
1セット |
リア アクスルキャリアブッシュ
(リア側) |
1セット |
アッパーアーム マウント |
2 |
ロアアーム マウント |
2 |
リアスタビライザー マウント |
2 |
リアスタビライザー サポート |
2 |
プロペラシャフト ジョイントディスク |
1 |
プロペラシャフト センターベアリング |
1 |
エンジンマウント |
2 |
トランスミッションマウント |
2 |
フューエルポンプ |
1 |
ラバーリング |
1 |
アンカーロックボルト |
4 |
![M3](../pict2/mc78050619_01.jpg)
(交換/一新した部品)
ロアアームブッシュやアッパーマウントブッシュをリフレッシュする人は多い
が、それらは一部のブッシュにしかすぎない。
しかし本当のリフレッシュというのは全てを一新してこそはじめてリフレッシュ
と言えるのではないかと思う。
…で、交換後の宮号はというと・・・
感動そのものである。
自分の車であって、自分の車でないような感覚。
iDingで車を引取って帰る途中の運転はニヤニヤしっぱなし(←かなり危ないヤツ)
だったかもしれない。
途中で車を停め、iDing井出社長に電話し、何を話したかあまり覚えてないが、
かなり興奮状態で「井出さん、なんてスゴイ車にしてくれたんだ!(嬉しい悲
鳴)」と叫んでたらしい。それだけ激変したのである。
ただ井出社長曰く、「これが本来の姿。」とのこと。
考えてみえばそのとおりである。
エンジンマウント交換前は、S50エンジンは///Mのエンジンだから
ある程度の振動は仕方ないか。。。と思い続けていたのだが、エンジンマウント
の交換によって、明らかに雑味な振動が消えた。
つまり交換前のあんなエンジンマウントでは、エンジンの振動を吸収しきれずに
その吸収しきれなかった振動がボディに伝わっていたのだ。
リアアクスルブッシュの交換はもっと顕著である。
ストレート、高速コーナー、ヘアピンのような急カーブ、登り降りともリアのト
ラクションのかかり方がまるで違う。
スタビリティが格段に向上し、アクセルを踏んでいける車に仕上がっているので
ある。
これが本来のE36型///M3なんだ。。。
E36型///M3の新車ってこんな感覚だったんだ。。。
ホントに素晴らしい車。。。
ということを改めて実感させてくれる。
外観的には何も変わらずで、しかもパワーアップパーツでもないので、非常に地
味なリフレッシュだが、その効果はとても大きい。
こういった基本のメンテナンスをしてこそ、BMWが提唱して
いる本来の“Freude am Fahren = 駆け抜ける歓び”を堪能できるの
だな・・・と思う。
iDingでは、無闇にエンジンパワーを上げるのではなく、こうした基礎がしっか
りできた車があってこそのチューニングと位置づけている。
(考えてみれば、極めて当たり前のこと。)
これを読んでる諸兄で、E36型に限らず、7年以上、もしくは10万km以上乗ってい
る・・・
もしくはそれに近い乗っている車で、エンジンマウントもリアアクスルブッシュ
も交換してない車は///M車に限らず、きっ
とブッシュ本来の機能は果たしてないと予想できる。
基礎がしっかりしてない上に、いくら良いパーツを装着してもその本来の機
能/性能は堪能することはできないだろう。
まぁ、これは車に限らず共通することが多いことである。
このリアアクスルアッセンブリを含めた基礎の全ブッシュ一新・・・
少しでも永く愛車をBestな状態で乗ろう・・・永く“駆け抜ける歓び”を堪能しよ
う・・・と考えてる人には自信を持って薦めたい。
これはディーラでもやってくれる作業だが、それなりの時間もかかることなので
事前に相談するとよい。
また、今回のブッシュ交換と同じくして、フューエルポンプも一新した。(画像
のビニール袋内)
実はこれも消耗品であり、突然死する部品の一つである。
部品名の通り、燃料(ガソリン)を送るポンプなので、部品の突然死は、停止中/
走行中に関わらず、車両が置物化することを意味する。
この部品も5年以上経過すると、その傾向があるので、交換してない車は要注意
である。
ただ今回、ホイルアライメントはまだ行ってない。
これはブッシュが馴染んできてからでないと、意味がないとのこと。
なのでしばらく馴らしで走ってから行うことにした。
たぶん、ホイルアライメント後は、またニヤニヤして運転することになるだろう。
余談にはなるが、中古のE36型///M3を探す際にはこ
ういう目に見えないところのチェックができればして頂きたい。
(もちろん見るだけでなく試乗することも必須)
下から見て見えるのはリアアクスルであればごく僅かのブッシュしかないが、そ
のブッシュの状態を見ることで、購入時から///M3本来の走りを堪能できるか
できないかにも関わってくる重要な鍵となってくるだろう。
無論、///M3だけでなく他のBMWも同様である。
賢く、そして良い目利きになって頂ければと思う。
話は戻して、時間と費用をそれなりに費やしたが、結果的には大変満足できるリ
フレッシュを行った。
いわば延命治療をしたとでも言えるのではないかと自負している。
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