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第9話 「部品収集前の基礎情報」

(作成:2004年7月13日 改訂:2004年8月4日)

(TEXT & PHOTO : Bryce / E36-318is)


第9話では、部品収集に当たって参考となる基礎情報について説明します。
VDOを始めとする海外製の部品を使う場合、恐らく個人輸入での購入になると思いますが、 以下でご紹介する情報があるとよりスムーズに進められると思います。



1. メーター

英語では「gauge:ゲージ」と言う表現の方が一般的です。
ネットで「gauge VDO」等と検索すると、海外では各種メーターが非常に安く売られていることが分かります。
特にアメリカでは、同じVDO製メーターでもイギリスの半値程度で売られている上、ショップによっては 3連メーターセット等と銘打ち、メーター、センサー、マウントをセットで売っているところもあります。

それでは、アメリカのショップで揃えれば万事OKかと言えば、実は大きな落とし穴があります。それは、
  アメリカは単位系が異なる
という点です。
簡単に言えば、温度は摂氏(℃)ではなく華氏(°F)、スピードはキロ(km/h)ではなく マイル(MPH)、圧力はバール(bar)ではなくプサイ(PSI)ということです。
VDOは同じ商品がヨーロッパではメートル単位系で売られているので、アメリカでも取り寄せ出来ないか 複数のショップに問い合わせて見ましたが、結果はどこもNGでした。

そんな経緯から、最初は「温度が高いか低いかは分かる」とヤセ我慢して華氏の油温計を使ってみたのですが、 やっぱりどうしてもピンと来ず、すぐにイギリスから購入し直しました。
結局、電圧計はアメリカから、油温、水温、油圧はイギリスから購入した物を使っています。

なお、私が今回使ったVDOの「Vision」というシリーズは、北米版(?)とヨーロッパ版(?)で表示盤が微妙に異なります。
ヨーロッパ版は、油温計なら油差し、水温計なら温度計といった「アイコン」が目盛りの下に描かれているのに対し、 北米版には、それらがありません。


電圧計だけ北米版なので、アイコン(バッテリーの絵)がありません。

多少高くついても見た目を揃えたいという場合は、全てのメーターをヨーロッパから購入するのが良いでしょう。


2. センサー

英語では一般的に「sender:センダー」と言います。これもメーターと同様、アメリカの方が安く購入できます。
センサーに単位系は関係無い(メーターの表示盤が異なるだけで、電気的な仕様は同じ)ので、 アメリカから購入するのが良いでしょう。

センサーを購入するに当たって調べておかなければならないのは、センサーのネジサイズと計測レンジ(範囲)です。
これらが分かっていると、パーツ番号が分からなくてもBMWを知らない部品屋さんから買うことが出来るので便利です。

ドライバーで回す普通のネジはもちろん、今回使うセンサーやタイヤのボルト等々、ネジが切ってある物は全て、 ある規格に沿ってネジの溝が切り込まれており、その寸法によって呼び名がついています。

実はその「規格」がいくつか存在し、中には紛らわしい物もある為注意が必要です。
例えば、国産メーターのパーツに多い「1/8PT(=PT1/8)」というサイズと、VDOのセンサーにラインナップ されている「1/8NPT」は、刻まれている溝が異なるため適合しません。
ちなみに、1/8NPTと1/8PTが同じだと勘違いした私は、1/8PTの水温計ジョイントを買ってしまいました。
そうです、7話に出てきたジョイントです・・・

なお、今回使ったのは、
  水温センサー : M16x1.5
  油温センサー : M12x1.5
  油圧センサー : M10x1.0
というサイズです。

上記の様に「M」から始まるネジは「メートル並目ネジ」と呼ばれる規格に基づいており、 前半の「M○○」がネジの外径、後半の「x○.○」がピッチ(ネジ山とネジ山の間隔)を表しています。

ネジについては、こちらに非常に詳しい情報が掲載されています。
 海上技術安全研究所
  http://www.nmri.go.jp/eng/khirata/design/ch04/ch04_01.html
  http://www.nmri.go.jp/eng/khirata/metalwork/basic/bolt/index_j.html

また、センサーには同サイズで計測レンジが異なる物がラインナップされている場合があります。
使うメーターの表示レンジと同じ計測レンジのセンサーを選びます。
例えば、150℃まで表示するメーターならば、センサーも150℃までの物、という具合です。
パーツ番号が分からない場合は、ネジサイズと一緒に必ず注記します。

今回使用したのは、
  水温センサー : 0-120℃(0-250F)
  油温センサー : 0-150℃(0-300F)
  油圧センサー : 0-5bar(0-80PSI)
です。


3. マウント

今回は、Aピラー用のマウントと、センターコンソール用のマウントを使いました。
AピラーマウントはVDOとBMPから、コンソール用マウントはBMPから出ています。
BMP製品はBMPから直接買うことも出来ますが、BMW関連を扱っているショップならば取り扱っている 場合が多いので、メーター類と一緒に注文出来ると送料が節約出来ます。


4. 購入先

個人輸入一般の話なので詳細は省きますが、ご参考までに個人的に感じていること、守っていることを少し。

・クレジットカードが使えるところが良い
  通販なので、お金を払ったのに商品が来ない、ということは十分に起こり得ます。
  私も実際に1度ありました。
  クレジットカードであれば調査はカード会社が行ってくれますし、時間は掛かりますが
  保険でお金が戻ります。

・多額の注文はしない
  海外なので、トラブっても直接乗り込んで話をつけるという訳には行きません。
  私は、何かあっても勉強代と諦められる額しか注文しないことにしています。

・注文する前にメールしてみる
  サイトに「世界中どこでも発送」と書いてあっても、「日本でもOKか?」等、
  とりあえず何か問い合わせのメールをしてみます。
  返事がおざなりなところは、注文時の対応もそれなりだったりします。

・英語圏が良い(外国語と言えば英語の方)
  ヨーロッパであれば非英語圏でも大抵英語が通じますが、
  やはり英語圏の方がサイトの情報も良く分かりますし、
  何かあった場合もコミュニケーションがしやすいと思います。


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