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BMWクリーンエネルギーワールドツアーその3

(作成:2001年6月4日 改訂:2002年5月10日)

BMWクリーンエネルギーワールドツアー
5/31つくば市 日本自動車研究所にて、BMWクリーンエネルギー・ ワールドツアーが開催されました。
そのツアー参加レポートをご覧下さい。



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■インプレッションレポート by 玉テク

未来はここから始まるのかと、素直に感じた。BMWは大きな期待を持たせて くれた。会場を後にした今もこの技術の普及を私は願っている。

"Driving The Future"とも名打たれた今回のカンファレンスは BMW AGによってドバイ、ブリュッセル、ミラノでの会議を終え、 この度、第4ステージとして東京での開催が始まった。

ドイツから運ばれて来たのは、2000年型『BMW 750hL』。 スペックは雑誌等でも公開済みだが、5.4リッター、V12気筒、 最高出力204馬力、最高速度226Km/h、0-100km/h加速9.6秒の 水素燃料内燃エンジンである。

最近、次世代カー、ゼロエミッションと聞くと、蓄燃料装置によるモーター動力 の話だと、浅薄な固定概念を持ってしまっていた。実際、水素エンジンと聞いても、 水素から電気を発電させ、モーター駆動のことだろうと思う方が多いのではないだろうか? が、BMW水素エンジンは列記とした内燃エンジンなのである。 そう、現代のエンジン同様にシリンダーでの燃焼によりトルクが生まれるのである。 そしてエミッションは、ガスではなく、純粋なH20をアウトプットするのだ。

燃費は100kmを走行するのに、2.8Kgの液体水素を必要とするらしい。 140リットルのタンク容量により約350kmが走行可能となる。 またバイフュエールなシステムを持っており、一方のガソリンは95リットルの容量 を持ちプラス600kmの走行が可能となる。 このシステムの採用は、水素燃料供給のインフラが整うまので必要性からとの ことであるが、1つのエンジンにて2つの燃料が使えるのには単純に驚くものがある。

さて、私なりの試乗(同乗走行)しての感想。 試乗車は6台。全てドイツ人ドライバーがハンドルを握ってくれる。 助手席シート案内され座り込む、エンジンはまだ止まっている。 (いきなり話は脱線するが、停車の度に、エンジンをOFFにすることには、 感心した。会場で待ち合うバスのアイドリングすら停止の指示が出ていたのだ。) グレー色の皮シートはゆったりとして、750リムジンとしての雰囲気に飲み込まれる。 ざっと見た限りは特別な装置などは全く見当たらない。

エンジンが始動される。キュルキュルとクランキングが速まる間もなく始動する。 エンジン音は至って普通に聞こえる。特別に音がしないわけではない。 試乗待ちの時に、外からの音を良く聞いておいたが、当日場内で見かけた数台のV12 オリジナルのエンジンよりもおそらく静かである。低音の少ない排気音であり、 乾いた軽い音がしていた。 車内では当然、エンジン音、ロードノイズと共に速度計、回転計の上昇に伴って 音が聞こてくる。 加速は、ドライバーのアクセルの踏み込み具合がわからなかったが、 トルクの盛り上がりからしても204馬力なり。ただガソリンエンジンと変わらず、 スムーズに車速を伸ばしていき、バンク途中でメータは160km/hを示した。 至って普通に走って行く感は、このエンジンと車がが既にに完成の域であると 感じさせられた。 204馬力の出力については、現在のガソリンエンジンと比べて語るのは、 まだ愚の骨頂であろう。

驚いたのは、160km/hで走行中、ドライバーがなにやらステアリング奥のスイッチを押した。 燃料切り替えスイッチである。その小さなスイッチを押した瞬間、僅かにゴクッと 聞こえた程度で何事もなくガソリン走行に切り替わった。音の変化、出力の変化は ほとんど感じられなかった。 試乗は、周回路を1周で終えた。

ところで、マフラーからは「水」が出たのであろうか?実は「水蒸気」となって 出てくるため見た目にはわからなかった。ガソリンに切り替えると普通に 排気ガスが出るらしい。当たり前のようだか不思議だ。 個別な質問の中、燃焼温度は、600度とのこと、ガソリンの場合は1200度。 発熱が小さいことはエンジンとして色々なメリットに繋がるだろう。

最後に、内燃機関の未来に明るさを感じることが出来た。これまでのエンジンで 作り上げて来たドライバビリティ、その感性を損なわず、次世代に移行できることは 素晴らしい。 今後テクノロジーの推進だけでなく世界的なインフラの整備、そして他技術との 優位性が問われることとなるであろうが、まずは今回、全てを一般に公開(撮影禁止個所は 無かった)してくれたBMW AGに感謝をしたい。 さて、我々が「Hydorogen Power」を楽しめるのはいつのことだろうか。 そして、更にその「Hydorogen M Power」の登場にに期待は止まない。

  BMWクリーンエネルギーワールドツアー



■水素自動車の未来(カンファレンス資料より)

2005: 欧州各国首都に水素供給ステーションを設置。
2010: 数千台規模の水素自動車を販売。
2020: 欧州全域に水素供給ステーション・ネットワークを確立。



■関連記事

●BMW Japan / イベント紹介:
  http://www.bmw.co.jp/Fascination/Event/0009/

●BMW Japan / クリーンエネルギー:
  http://www.bmw.co.jp/Product/Innovation/CleanEnergy/

●Web CG:
  http://nigensha.co.jp/webcg/news/0106/010601_002.html

●読売新聞:
  http://www.yomiuri.co.jp/atcars/news/20010602_bmw.htm


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